So-net無料ブログ作成
検索選択
前の5件 | -

数学的にありえない [海外ミステリー]

タイトル    数学的にありえない
作者     アダム ファウアー

(あらすじとデータ)

癲癇の発作に苦しむデイヴィッド大学講師をやめ、
今は得意の確率論を武器にギャンブル三昧の日々を送っていたが、
大博打に負けて、またしても発作が。
迫りくる借金の取り立て。
しかし、癲癇の新薬を手に入れるために、町を出るわけにはいかない。

第1回世界スリラー作家クラブ新人賞受賞作。


(私はこう読んだ)

まず、タイトルが上手いなあ、と。

読み始めに思ったより、全然エンタメ作品でした。
タイムパラドックス物として、期待していたのとは違ったけれど、
非局所的現実の共有として、期待していたのとも違ったけれど、
分かりやすいから、アリだと思いました。
だって、もっと小難しい話かと思っていたもの。

ストーリーとしての目新しさはないし、
登場人物は特徴もなければ、リアリティもないのに、
切り口がユニークなので面白く読みました。
いろいろアナもあるけど、丁寧だし、読んでいる間は十分騙してもらいました。

ちょっとバカ本で、楽しかったです。


数学的にありえない〈上〉

数学的にありえない〈上〉

  • 作者: アダム ファウアー
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/08
  • メディア: 単行本



nice!(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

怪奇がたり [ホラーミステリー]

タイトル    怪奇がたり
作者     城島明彦


(あらすじとデータ)

怪談短編集。

・首塚…猫の生首がある廃墟病院のモルモット
・骨…古代の骨とイヌ腐食ウィルス
・記憶…平家のお姫様姉妹
・鈴…化け猫もの
・呪殺…患者の呪いを医者が引き継ぐはなし
・髑髏杯…信長に殺された武将の子孫倶楽部
・手毬…芦屋道満の子孫にイジメを受ける安部清明の子孫
・顔…殺人犯のドッペルゲンガー
・人形…自殺した旅館の娘の霊が取り憑いた人形


(私はこう読んだ)

思わず作者の年齢をチェックしてしまったほどの、語彙のセンスの古さが、
個人的には読みどころでした。

そのくせ中味は子供っぽくて、なんだかアンバランス
大雑把すぎて、いまひとつ入りにくい起承と、
愕然とするほどヘンテコな展開、
それにくっついた凡庸な結末という取り合わせが、
昔の怪奇漫画みたいで、
不思議とクセになる怪談集だと思いました。
つのだじろうとか。
古賀新一とか。
梅図かずおとか。
読んでいると、黄金期の先生たちの絵での
脳内変換が自然にされてなりません。
でも、そこが楽しい、みたいな。
郷愁かな?

怪談として怖いか、というと、そうでもないんですが、
不条理モノとしては、ある意味突き抜けていて、目が覚めます。
ツッコミどころ満載。
総じて、これはこれで面白いような。

ところで。
この本、電車で読む用に1週間くらい持ち歩いていたのですが、
その間に2回も「モンマさん」と声をかけられました。
人違いです。
私、よっぽど似てるのかなあ、その「モンマさん」に。
でも、1回は横浜元町。
2回目は東京初台。
初台で呼び止めてきた大学生の男の子ふたりによると、
「後姿はまんま」だそうです。
なんか、もしかしてドッペルゲンガー?
ちょっと怖かったです。


怪奇がたり (扶桑社文庫)

怪奇がたり (扶桑社文庫)

  • 作者: 城島 明彦
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2008/07/12
  • メディア: 文庫



nice!(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

トンネルⅡ [冒険ミステリー]

タイトル    トンネルⅡ
作者     ロデリック・ゴードン   


(あらすじとデータ)

行方不明のお父さんを捜しに入り込んだ地下都市を脱出。
連れ去られた親友と、ようやく再会したのは、
ディープスに向かう列車のうえだった。

ディープスは地下都市からさらに深い場所で、
地核に近づいて、より暑く、放射能の危険もある場所で、
亜種人類しか住まず、
絶滅種が人知れず棲息する暗黒の世界。

生存不能、脱出困難のディープスで、
お父さんを捜し、地上に戻ることはできるのか。

トンネル2作目。


(私はこう読んだ)

舞台は僻地にうつり、
環境もさらに厳しくなっているはずなのに、
あんまり辺境サバイバル感がないのは残念。
設定は面白く、
映像にしたら美しく、
じゃあ、なにが物足りないかと言ったら、
肌感覚かなあ?とか。
曖昧な不満なのだけど。

まあ、あくまで子供向けファンタジーなので、
あんまりリアルなのをやられてもアレだし…
こんな匙加減でいいのか、とも。
面白いのは面白いです。
ただ、前作の勢いには少し及ばないなあ、というところ。

地上の母親や、地中の父親に多く紙面を割いていて、
じつは、そこがあんまり面白くないというか、
もっとタイトでいいんじゃないかなあ、という
個人的な好みもあって。

だって、悪くて美少女な妹は露出が減るし、
生意気な弟も後半おとなしくなってきちゃうし、
親友はイチャイチャしてくれないし。
ちょっと淋しいんだな。

新しいキャラクターもイマイチ弱いし。
情報量が少ないし。
完結してないし。

このさきは可愛らしく、地球空洞説な世界になりそうなのだけど、
もしかしたら、2巻目は間延びの巻だったのかも。
…と思いたいところです。




トンネルII 謎の暗黒世界 ディープス 上

トンネルII 謎の暗黒世界 ディープス 上




nice!(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

ポドロ島 [海外ファンタジー]

タイトル    ポドロ島
作者     L・P・ハートリー


(あらすじとデータ)

怪奇古典の名手ハートリーの短編集。

・ポドロ島…無人島の猫を殺して
・動く棺桶…マニアのための、殺して収納もできる棺桶
・足から先に…誰かの死体と出てゆく少女の幽霊
・持ち主の交代…屋敷を閉め出されて、多重もしも遊び
・思いつき…悪魔に懺悔
・島…愛人の夫とディナー
・夜の怪…後ろ姿の男と夜警
・毒壜…生類憐れみの令を知らずに昆虫採取したら
・合図…隣の部屋から妹が壁を叩くはなし
・W・S…ハートリー版ダークハーフ
・パンパス草の茂み…背の高い草を透かして見える人影
・愛し合う部屋…パーティーで居眠りしてたら娘を見失い


(私はこう読んだ)

異常に「動く棺桶」が好きで、
異常に「持ち主の交代」が変!
そして、異常に「合図」が怖かったです。
ハートリー、やっぱり面白いです。



ポドロ島 (KAWADE MYSTERY)

ポドロ島 (KAWADE MYSTERY)




nice!(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

木でできた海 [海外ファンタジー]

タイトル    木でできた海
作者     ジョナサン・キャロル


(あらすじとデータ)

かつて手に負えない不良だったフラニーは、
いまは故郷で警察署長になっていた。
現在の自分に満足する彼は、
家族を愛する心温かい男だ。

保護した老犬を看取り、埋葬してやったはずが、
犬は生き返り、彼のもとに帰ってきた。
喧嘩ばかりしていた夫婦は失踪し、少女の死体は言葉をしゃべる。
それら、奇妙な出来事のまわりに符合のように現れる奇妙な羽。

しかし、すべてはまだ始まったばかりだったのだ。


「蜂の巣にキス」「薪の結婚」に続く、クレインズ・ヴュー三部作の三作目。


(私はこう読んだ)

ジョナサン・キャロルの作品を読むと、
いつも、もの凄く上手い歌い手が、鼻歌を歌っているのを連想します。
軽やかで、
力みがなく、
無意識に出てきてる物語、みたいな。

キャロルが本当に鼻歌まじりに書いているとは
決して思わない(だったら、もっとたくさん数を書いているだろうし、
こんなに仕上がりがキッチリしているわけもない)けれど、
この鼻歌感は大事なところで、
読み手に心地好いミスデレクションを与えてくれる、
キャロル独特の味になっているように思います。

本書は、宇宙人も出てくるSFで、
タイムパラドックスも扱っているわりには、
キャロル節ともいうべき鼻歌感のおかげで、あんまりSFっぽくはなく、
気がつくと、人生讃歌の物語なのであって、
死んだ父親と握手なんかして、
(相変わらず父ちゃんがスキなんだなあ、とか)
ウッカリ泣かされたりもするのです。

若干のネタバレをしてしまうと、
時間軸の違う自分と接触する話で、
自分自身と対面するなんて、考えただけでゾッとするので、
ホラーだわ、と単純に思うのだけれど、
読もうと思えば、心理学的に自己受容の物語にも読め、
神学的にも、小難しく読もうと思えば、いくらでも難しく読めますが。
キャロルの読み方は、たぶん、ふわっとしてスパイスの効いたスフレを
食べるようであっていいんだろう、と思ってます。

本書はこれまでの作品と比べると、
勢いは劣るものの、
分かりやすく統合されているので、
これはこれでアリかな、と思いますし、
ネタの可愛らしさは健在で、満足しました。


木でできた海 (創元推理文庫)

木でできた海 (創元推理文庫)




nice!(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
前の5件 | -