So-net無料ブログ作成
検索選択
前の5件 | -

呑舟の魚 [冒険ミステリー]

タイトル    呑舟の魚
作者     西村 寿行


(あらすじとデータ)

残忍な行為によってのしあがった先祖を持つ、
田舎の名家に生まれた兄弟。

弟は先祖の呪いを受けて生まれ、
虐げられて育てられた。
そして、子供の頃に神隠しにあった。

兄は嫡男として、その地方における
絶大な権力者として、権威に守られ、かしずかれ、
その実、胆の据わらない、卑少な男になった。

弟の神隠しから20年。
突如、現れた弟に怯える兄。
財産分与をしたくないあまり、
採算の見込みのない
私設飛行場を作り与えることによって、
弟を懐柔しようと画策するが…


(私はこう読んだ)

ズバリ、寿行作品最高傑作。

初めて読んだのが、高校生だったせいもあって、
当時は、その執念と熱気の凄まじさばかりに
目がむいていたけれど、
兄と弟の運命的な確執は、いま読むと哀しいです。
理性ではどうにもならない業と、
業に生きるしかできない人間の虚しさが、
ちゃんと描ききられていて、素晴らしい。
エロいバイオレンスを書く
大衆作家であるところの西村寿行の、
本質ともいえる文豪ぶりを見せつけられた感があります。

でも、文豪みたいな権威主義はくそくらえ、な。
破天荒にバカ本を書いててたい作家の反骨はそのままで。
エンターテイメント性は捨てない、
ぶれない姿勢も心地好く。
要するに、作品としてのバランスがよくて、
かつ、抜けるところは突き抜けているあたり。
個人的には一番好きな作品です。

それから、読み直して感じたのが、
弟の友だち!
とっても素敵。
友情関係の距離感がいいんですよね。
これって、かなり「ニヒル」なんじゃないでしょうか。
ヒロイン3人も、記憶より断絶カッコ良く、
意外とキャラも立っていたのでした。

寿行が描く、しぶとい人たちは、
やっぱりカッコ良いです。

Hシーンばっかり書いてるわりに、
作品に不思議な清潔感があるのは、
不屈の魂がそこにあるから。
たぶん、それは普遍の美しさであって、
人間の哀しさでもあるんだと思います。

とは言え、
バカ本カテゴリーに数えたくなる驚愕の展開は、
さすが寿行大先生。
特に、クライマックスの無人島脱出は、
日本バカ本史に残る素晴らしさです。
ハッキリ言って、これに比肩できるのは
「あしたのジョー」の豚ロデオぐらいでしょ。

とにかく、やたらテンションがあがります。
バカ本好きなら、ぜひ読んでみて欲しい一冊です。


呑舟の魚 (徳間文庫)

呑舟の魚 (徳間文庫)

  • 作者: 西村 寿行
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2000/12
  • メディア: 文庫



nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

八墓村 [探偵ミステリー]

タイトル    八墓村
作者     横溝 正史


(あらすじとデータ)

ご存知、金田一物の傑作。

若き男前の遺産相続人の目の前で、
次々起こる奇怪な殺人。
それは、血みどろな伝説を思わせる
陰鬱な連続殺人だった。

さばけた美女である未亡人
双子の老女。
不倫を秘めたお姉さん。
ちょっと足りないカワイコちゃん。
盗癖のある尼さん。
そして、洞窟。
呪いの地。
陰惨な伝説を持つ旧家の秘密。
これでもか、これでもかなネタの大盤振る舞いで、
これぞTHE横溝。

伝説の猟奇殺人・津山三十人殺しに想を得て書かれた。


(私はこう読んだ)

小学生の時に読んだきり、金田一物は
全然読み直してなかったのですが。
耕助さんが素晴らしくかわいい!ことに、目覚めました。

と同時に。
過去、見てきた映像化された耕助さんは、
ちょっと違うなあ、と。
どもりのきつい小男、という役柄は、
男前役者がやっちゃダメでしょう。
ギリギリ石坂浩二。
今なら、浜田岳くんかな、って思うんですが、
どんなもんでしょ。

だって、八墓村の耕助さんは、
ほんっとうに働いてないんですよね。
もちろん、そこが萌えなわけで、
よっ、分かってるなあ、横溝!
と、思わず掛け声のひとつも張りたくなるってもの。
オタク心をくすぐられます。

それから、
横溝の文章の美味さに、改めて驚きました。
金田一物は他の作品にくらべて、
コミカルな部分はあるし、文体も砕けているので、
なんとなく下に見ていた観があったのですが、
いやはや、小説として面白いし、
美しいし。
さすがだなあ、と改めて惚れ直しました。

八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル)

八つ墓村 (角川文庫―金田一耕助ファイル)

  • 作者: 横溝 正史
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1971/04
  • メディア: 文庫



nice!(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

百年の亡国 憲法破却 [歴史/チャンバラ(日本)]

タイトル    百年の亡国 憲法破却
作者     海道 龍一朗


(あらすじとデータ)

昭和20年。
太平洋戦争で敗戦した日本に、
GHQが新しい憲法を押し付けた話。


(私はこう読んだ)

言いたいことは良く分かる。
分かるんだけど、正直、暑苦しくて、辟易しました。
真面目な話を直球でやるなら、
もうちょっと小説世界に厚みが欲しいなあ、なんて。

主題の重さに比べると、登場人物に深みが欠けているので、
それが作品に共感できなくさせているような気がします。
解説には「等身大」とありますが、
「等身大」の人間しかいない世界ってなによ?
と思っちゃったのは私だけでしょうか。
なにより、戦後の「等身大」としての説得力に欠けます。

構成も、悪いような、そうでもないような、だし。
台詞はダサくて恥ずかしいし。
時々、私にしては珍しく、ナナメ読みしちゃいました。

ただし、内容は面白かったです。
よく調べてまとめたなあ…というのが、一番の感想で、
もしかしたら、小説の形態でなかったら、
普通に面白い読み物だったのに。


百年の亡国 憲法破却 (講談社文庫)

百年の亡国 憲法破却 (講談社文庫)

  • 作者: 海道 龍一朗
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/04/15
  • メディア: 文庫



nice!(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

沈黙の森 [冒険ミステリー]

タイトル    沈黙の森
作者     馳星周


(あらすじとデータ)

歌舞伎町界隈で名をなし、
凶暴さゆえにカリスマであった男は、
今は軽井沢別荘メンテナンスをしている。
引退して20年。
組の金を持ち逃げした犯人が
軽井沢に隠れてたことによって、
男の静かな生活は壊された。
そして、ヤクザ仲間にも恐れられる
「5人殺しの田口」が復活する。


(私はこう読んだ)

恐ろしく面白かったです。
こんな作家だっけ、と正直びっくり。

ろくでなしなオヤジしか登場しない、
ヤクザな話ですが、
妙に魅力的なオッサンたちで、笑えます。
特に、オヤジ刑事がステキ。
加齢臭がして、耳毛が出てるに違いないオヤジだけど、
人を食ってて面白いです。

あと、
主人公の愛犬の川上犬が強くてかわいいんだ、これが。
主人公は、困った暴力おじさんなんだけど、
それが犬に信頼されてるってだけで、
なんとなく微笑ましく見えてくるのは不思議。
わんこ効果おそるべし。

オヤジたちに比べて、ヒロインがイマイチ地味なのは、
気になると言えば気になるところですが。
女がエロくないのは、オヤジ萌え本だからでしょうか?
ジャンル的に、そんなんでいいのかなあ?とは
思いました。
私はオヤジ萌えたんで、全然OKでしたけど。

ラストに関しても、賛否両論ありそうな気がしますが、
個人的には結構好きなパターンです。
昔よく西村寿行がやってた的な。
そういえば、全体的に、なんとなく寿行テイスト入ってるかも?


沈黙の森 ((徳間文庫))

沈黙の森 ((徳間文庫))

  • 作者: 馳星周
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2012/01/07
  • メディア: 文庫



nice!(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

猫鳴り [動物モノ]

タイトル    猫鳴り
作者     沼田 まほかる


(あらすじとデータ)

猫をめぐる人たちの物語。
もしくは、人間社会に生きる猫たちの猫生。


(私はこう読んだ)

この本を知人から借りた時は、
正直「しまった」と思ったくらい、
実は、苦手な作家でして。
例によって、
心の機敏がひねくれたというか、
めんどくさい人たちの話なので、
言ってることは分からなくもないけど、
屈折のしかたにイマイチ共感できないなあ…、
思いつつ読んでいたら、
途中から猫の観察日記様になって、
そうなると不快感より、文の上手さが浮かび上がって、
こういうのも全然アリだな、って
納得させられちゃったから、不思議です。

これで借りた知人に「面白かったよ」って言えるー、とホッとした次第。
よかった、よかった。
おかげで私も少しは平積み作品も読めるようになったかな。


猫鳴り (双葉文庫)

猫鳴り (双葉文庫)




nice!(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
前の5件 | -