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ジェーン・エア [海外ロマンス]

タイトル    ジェーン・エア
作者     シャーロット・ブロンテ


(あらすじとデータ)

血縁に恵まれず、
幸薄い少女時代を過ごしたジェーン・エアは、
みずからの人生をおのが手で切り開くべく
家庭教師に。

恵まれた環境での仕事。
そして、雇い先の旦那様との恋。

しかし、それは禁断の結婚だったのだ。


あまりにも有名なブロンテ姉妹の長女の代表作。

河出書房世界文学全集第3回配本。
安部知二・訳。バーネット・フリードマンの挿絵で読みました。


(私はこう読んだ)

むかーし、
子供向けダイジェスト版で読んだときは、
怪奇小説の亜流、といったような読み方をしていました。
そもそも子供だったので、
醜女がプ男のオッサンに惚れる話になんか
てんで興味なかったし。

あらためて全編読んでみて、
びっくりしたのは、
ずいぶんと「文学っぽい」作品だったんだなあ、ということ。
古典文学のくくりなのだから、あたりまえなんだけど。
印象はもっと劇的というか。

特に私が読んだダイジェスト版は、
ロウウッド塾での少女時代や、
ロチェスターから逃げていた1年間が
(そこが面白いのに)さっくりとしか書いてなかったので、
あとに印象として残ったのが、
「幽閉されてる狂った奥様」だけだったのだろう、と
今なら分かります。
もっとも、その今面白いと思った、
まさにそこが同時に
子供の頃に読んだら退屈だったろうけれど。
まあ、それはそれとして。

それでも結局はロマンス小説の土俵のなかで
やりくりしてるあたりが、
当時も女性に売れたんだろう上手さかなあ、と
思いました。

それでいて、よくよく読んでみると、
霊的交歓をクライマックスにした人格受容を描いており、
そのあたりのゴシック的ロマンチズムも
女子受けが透けてみえます。
ラストの愛のテレパシー事件など、
オカルティズムというよりは、
恋愛を宗教に昇華させた印象があります。

かつ、フェミニズムなハナイキの荒さもあります。
当時はずいぶん尖がった作品だったのかなあ、と思わせる場面も。
ちゃんと現実逃避をさせてくれて、
そりゃあ、昔の女子は好きだったよ、これ。
と、思いました。
オチも素敵だし。

全体的に、
少女マンガ寄り昼ドラな感じで面白かったです。
挿絵がまた、なんというか少女趣味で郷愁をそそられました。


ジェーンは自立心おおせいで、賢く、気難しい女の子。
幼くして両親を亡くしている彼女は、叔母から軽く虐待を受けますが、猛烈に反抗。神を冒涜する恩知らずのレッテルを貼られて、ケチな慈善寄宿学校に追いやられる。が、そこには順応。教師にまでなる。



狂った奥さんが徘徊する古い屋敷なんてのは、
いかにも怪奇趣味すぎて、どうも騙されます。
世間では、ゴシックロマンとして解釈されているような気がしますし、
私もそういう認識でいたのだけれど、
よくよく読んでみると、
霊的交歓をクライマックスにした、人格受容を描いた作品です。
ラストの愛のテレパシー事件など、オカルティズムというよりは、恋愛を宗教的に昇化させた印象です。

そして、それは女性の自己実現のための、一種のイニシエーションというニュアンスもあるように思われます。
つまり、結構なフェミニズム。
当時としてはずいぶん尖んがった自意識を持ったジェーンを登場させ、かつ、ムリヤリ自己を貫かせてしまった、かなりの現実逃避型私小説です。

だから、あんまりエロくない。
というか、ロマンス小説にしては全然エロくないです。
それを思えば、先日読んだ「風とともに去りぬ」はちゃんとあからさまに、そういう盛り上がりがあるなあ、と。
バトラーさんにコルセット締められるシーン(イチ押し)とか。
はたまた、自分はノーパン宣言して、メラニーさんにネグリジェ脱がせるシーンとか。
エッチのあと超ご機嫌になるオハラさんは、さすがにすてき。あからさまなぶん、読んでいてテンションの上がるヒロインだと思います。

それに引き換え、ジェーン・エア。
堅苦しいし、気難しいし、めんどくさい。
暗いし、寒いし、いかにもイギリス。湿っぽい。
言い寄る男の、いとこの牧師さんもパワーハラスメントするだけで、色気のなさは、ひっくり返った亀のほうがマシというレベル。
肝心のロシュフォルさんだって、女性遍歴が多い設定のわりにチャラさが足りないので、つまらない。
変わり者加減もそこそこで、案外キャラも薄いような…。
創作絵画(恥ずかしい)とか描いて微妙にオタクの香りのするジェーンに比べてマトモです。

とは言え、ジェーンの率直さは爽やかで、ジェーンの視点で書かれた本作の読後感は意外なほど良く、美しい妄想作品に触れた気分になりました。
なんだかんだ言いながら、孤独な魂がたった一人のソウルメイトを見つける物語で、そういう意味ではぶっちぎりのロマンス小説です。
作者の年表を見ると、30代後半に嫁に行くまで、やたらいろんな人から求婚されてますが、なんか分かる気がする妖精さんっぷりが読み取れます。

ロマンス小説としては適度なカタルシス。
時代背景を鑑みれば、充分すぎるほど鼻息も荒く、気合いも充分。
楽しめます。
文学的には、より作者の体験が投影されている寄宿学校時代が優れて美しいと思いましたが、ダンナが不具になるオチには萌えます。

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