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ヒストリアン [海外ファンタジー]

タイトル    ヒストリアンⅠ・Ⅱ
作者     エリザベス・コストヴァ


(あらすじとデータ)

少女の見つけた奇妙な本。
父の書斎で見つけたそれは、
魅力的に古く、
いわくありげな書類が挟まれ、
真っ白なページに、竜の挿絵がただひとつ。

秘密のにおいのするその本について父が語ったのは、
父の若かりし日の物語。
奇妙な本が書き立てる欲望。
知識欲という業の、不可思議な糸に導かれた学者たちの
行き着く先は、かのウラド・ツェぺシ、ドラキュラの墓探しだった。
歴史ではルーマニアのスマゴフ湖に眠るとされているが、
そう、ドラキュラは不死者として、現在も存在しているのだ。

父と同じように謎の本を手に入れていた教授は、
父にそのことを打ち明けた夜に失踪した。
教授を探すため、本の謎に取り組むことにした若き日の父に
不死者の影は迫るのだった。

そして、父の話を聞く娘もまた、不気味な気配を感じていた。


ホップウッド賞受賞作。


(私はこう読んだ)

すっごくステキー、と思って読みました。

立派な本棚を持っていて「全部スキに読んでいいよ」って言ってくれるパパ。
オタク少女の夢でしょ、これ。
しかも、ヨーロッパのいろんな都市を連れて歩いてくれて、
遺跡なんぞを見ながら、
「君はいかに特別か」という物語を
怯えながら(萌え!)語ってくれるパパなんて!
それも吸血鬼ネタ!
たまらんですよ。

オタク少女の夢だから、ご都合主義だけど、それでいいのダ。
ウンチクがめんどくさい、ゴシック・コンプレックスまる出しな感じが、
これまた良いのダ。

うんざりするほどリリカルなんだけど、
そのうんざりするほどの少女趣味に没頭して彷徨うのが
正しい読みかただと思われます。

歴史ミステリーとしては甘いし、
ホラーとしては極甘。
紀行モノとしても、焦点がぼやっとしているのは確か。

でもね。でもね。
その全体的なモヤッと加減というか、
実体のない感じが、この作品のキモだと思うのです。
だって、オタク少女の夢だもの。
妄想のオカズになる程度のリアリティなんてものは、
こんなところで良いんじゃないかな、と。
あんまり生々しいのとか、
あんまりガチに怖いのは
オトメ向きじゃないでしょ、やっぱり。

もっとも、後半がイマイチ面白さに欠けるのは、
ロマンスの過剰さだと、個人的には思っています。
パパママの物語はともかく、
女の子のパートナーはいらなかったんじゃないかなー、と。
男の子のお行儀が良すぎてつまらないんだもん。
そんなハンパにお子様ランチな男、いるか?と、
こぶしを握り締めた読者は私ひとりではないはず。

だいたい、お一人さま行動なら、
いろんなことがちゃんとスリリングだったのに。
でもって、もっとちゃんと吸血鬼に食指を動かしてもらわないと!

おかげでドラキュラとの絡みが少なく、
出生の秘密が生きてこないのは残念でした。
だから後半のホラー度が低いんだと思うんですよねえ。
(いや、ドラキュラがオヤジ趣味なのが悪いのか?)

でも、そのへんのヌケっぷりが、バカ本っぽくていいのかな?とも。
もっとも、バカ本としてカウントするには
やや完成度が高すぎる気もするんですが。

広く、浅く、バランス良く、なんちゃってぶりが加減良く、
構成がカチッとしているので読みやすいです。
水戸黄門なみの分かりやすさと予定調和で、
たいへん楽しく読みました。


ヒストリアン・I

ヒストリアン・I




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